目次
ウェブサイト制作においても、チラシやパンフレットなど紙媒体の制作においても、制作に入る前のクライアントへのヒアリングは非常に重要です。
ヒアリングとは、クライアントの要望や目的を詳細に把握するためのコミュニケーションプロセスです。ヒアリングによってクライアントの要望を把握し、その上でさらなる提案を取り入れることで、クライアントの期待を超えて効果的な制作物を作ることができます。また、丁寧なヒアリングを通じてクライアントとの信頼関係を築き、プロジェクトを成功へと導くことができます。
ヒアリングする際は、確認漏れがないように事前にヒアリングシートを作成して記入していきます。
ウェブサイト制作と、チラシやパンフレットなど紙媒体の制作では、ヒアリングすべき項目が異なりますが、共通して必要な項目もあります。この記事では、共通して必要なヒアリング項目と、それぞれの制作に特有の項目について解説します。
共通のヒアリング項目
基本情報の確認
会社概要の把握
クライアントの会社概要を理解することは、ビジネスの背景を知るために重要です。
会社の設立年、規模、所在地、主要な取引先などの基本情報を確認します。
歴史のある会社であれば沿革を載せることで信頼性を高めたり、反対に新しい会社であれば風通しの良さやチャレンジ精神を強くアピールしていくなど、デザインやコンテンツにおいての提案にも繋がります。
- ・会社名
- ・設立年
- ・所在地
- ・主要取引先
- ・従業員数
- ・電話番号
- ・メールアドレス
- ・ウェブサイト
事業内容と提供サービス
クライアントが提供している事業内容やサービスについて詳しく把握する必要があります。どのような商品やサービスを提供しているのか、他者との違いや強みを理解することで、デザインやコンテンツに反映させることができます。
弊社では幅広い業種のクライアントと取引させていただいているため、あまり知識のない事業に対してもヒアリングや調査を通して理解を深めることが重要です。
- ・業種
- ・事業内容
- ・提供サービス、製品
- ・強み
- ・競合他社
- ・他社との違い
企業理念
クライアントのビジョンやミッションなどの企業理念を把握することで、クライアントが大切にしている考え方を取り入れ、それを強みとして打ち出すことができます。
たとえ具体的な企業理念が定まっていない場合でも、日々の業務で大切にしていることや心がけていることがあるはずです。
丁寧にヒアリングを行うことで、そうした価値観や考え方を引き出すことができます。
- ・企業理念
- ・大切にしていること
- ・ブランドメッセージ、キャッチコピー
過去の制作物の確認
既存のウェブサイトや過去の制作物を確認することで、クライアントが好むスタイルやトーンを把握します。
過去の制作物が成功した理由や改善が必要だった点についても詳しく聞き、クライアントが期待する方向性や避けたいデザインの傾向を明確にします。
- ・現在のウェブサイト
- ・過去の制作物
- ・過去の制作物の良い点
- ・過去の制作物の改善したい点
目的とゴールの明確化
制作の目的
なぜ制作をご依頼いただいたか、お客さまによって様々な理由があります。
今のホームページが見づらいからリニューアルしたい、新規事業を始めるにあたってチラシを作りたい、採用に活用するために会社案内のパンフレットを作りたいなど、ご依頼いただいた背景も目的も様々です。ニーズを引き出すことができるので、必ず聞くようにしています。
- ・制作背景・目的
- ・用途
ゴール
この制作物で最終的に何を達成したいのか、ユーザーにどのような行動を取ってもらいたいのかを確認します。全体を通しての最終的なゴールは、購入や契約であることが多いですが、「制作物に触れたユーザーに取ってもらいたい行動」という視点から考えると、資料請求やお問い合わせ、LINEの友だち登録など、契約の一歩手前にある行動も重要です。これにより、制作物の具体的な目的を確認することができます。
- ・ゴール
- ・制作物に触れたユーザーに取ってもらいたい行動
ユーザーについての理解
既存ユーザーとターゲットユーザー
ユーザーの特徴やニーズを理解することは、効果的なデザインやメッセージを作成するために重要です。すでに事業が展開している場合は、既存のユーザーの年齢層や性別、属性を確認し、実際にどんなユーザーに支持されているのかを把握します。その次に、既存のユーザーとターゲットとしたいユーザー層に差異があるかどうかを確認し、もし差異がある場合は、そのターゲットユーザー層の詳細を理解します。
プロジェクトによっては、ターゲットユーザーの典型的なプロフィールを描いた「ペルソナ」や、顧客が商品やサービスを購入・利用するまでの道のりを描いた「カスタマージャーニーマップ」を作成し、理解を深めることがあります。
- ・既存ユーザー(年齢層、性別、属性)
- ・ターゲットユーザー(年齢層、性別、属性)
ユーザーに与えたい印象
ユーザーにどんな印象を与えたいかを確認することも重要です。信頼できるサービスと思ってほしいのか、スタイリッシュで先進的なサービスと思ってほしいのかによって、デザインの方向性や機能も全く異なってきます。
- ・ユーザーに与えたい印象
コンテンツ
必要なコンテンツ
ウェブサイトやパンフレットなどに必要な掲載コンテンツを確認します。ヒアリングの時点では大まかにクライアントの希望を伺い、その後、最適な構成を検討します。必要に応じてコンテンツの追加・削除を行い、構成案を提案する流れになります。
- ・必要なコンテンツ
目立たせたいコンテンツ
必要なコンテンツの中でも特に強調したいものを確認します。制作物の目的を踏まえて検討し、提案することもありますが、事前に目立たせたいコンテンツを確認しておくことで、イメージを具体的に共有し、デザインに活かすことができます。
- ・目立たせたいコンテンツ
画像素材やテキストの提供
ウェブサイト制作の場合も、紙媒体の制作の場合も、画像素材が必要になることがほとんどです。画像の用意については、以下の3パターンに分けられます。
- 1. 画像をクライアントにご提供いただく場合
- 2. 有料素材サービスの画像を使用する場合
- 3. 撮影する場合
すでに撮影済みの画像をクライアントが持っていて提供いただける場合は問題ありませんが、素材がない場合は、弊社が契約している有料素材サービスの画像を使用するか、新たに撮影する必要があります。特に、ECサイトなどで商品画像が必要な場合は、実物の写真が必要です。この場合、必要な画像をリスト化し、撮影ディレクションまで行います。
- ・素材提供していただけるか
- ・撮影が必要か
テキストについて
テキストについては、既存の制作物があればそれをベースに作成しますが、構成から再検討することが多いため、そのまま使えないこともあります。テキストをクライアントが作成するか、弊社が詳しくヒアリングしてコンテンツを作り込むか、対応範囲を事前に確認しておきます。実際には、弊社で仮の文章を作成し、クライアントにご確認いただき、修正案をお送りいただくことが多いです。
- ・テキストは提供いただけるか
コミュニケーションについて
担当者と最終意思決定者
担当者と決裁権を持つ最終意思決定者を事前に確認しておくと、制作期間中のコミュニケーションがスムーズになります。特に社長などの決裁権を持つ方は普段の業務で多忙なことが多いので、担当者を立ててもらうのが望ましいです。
情報提供などの細かなやり取りは担当者と進め、構成やデザインの方向性の確定時には最終意思決定者に確認しながら進めることで、遅延なくプロジェクトを進められます。
- ・担当者
- ・最終意思決定者
コミュニケーションツール
担当者とどのようなツールでコミュニケーションを取るか、事前に確認しておきます。クライアントが普段から使用していて慣れているツールでやりとりする方が、確認してもらいやすくスムーズに進むことが多いです。チャットの方が素早くやり取りできますが、重要な情報が流れてしまう可能性もあるため、メールの方が良い場合もあります。クライアントの希望も聞きながら、場合によっては複数のツールを使い分けるなどして対応します。
- ・コミュニケーションツール
定例ミーティング
クライアントが忙しく、打ち合わせの日程調整が難しい場合もあるので、事前に定例ミーティングを設定することが望ましいです。頻度はプロジェクトの内容や進捗度合い、納期によって週1回から月1回程度で設定します。これにより、随時進捗を報告し、方向性にずれがないか確認しながら進めることができます。
- ・定例ミーティング日程
希望納期
商談段階で伺っていることも多いですが、改めて希望納期について確認します。要件や社内のリソース状況によってはご希望に添えないこともありますが、どうしても必要な時期が決まっている場合は、なるべく対応できるようにスケジュールを調整します。
短納期の場合は、クライアントに情報提供やフィードバックを迅速に対応していただくようお願いすることもあります。
- ・希望納期
- ・希望納期の理由
デザインイメージの共有
ブランドガイドラインの確認
すでにブランドとしてデザインのガイドラインが決まっているクライアントの場合は、資料を共有してもらいます。ロゴデータについても使用規定がある場合は確認し、トーン&マナーを損ねないように制作を行います。
- ・ブランドガイドラインの確認
- ・ロゴの使用方法
制作物カラーの確認
コーポレートカラーがある場合、制作物にもコーポレートカラーを使用すべきか、他に希望があるかを確認します。ブランドとして統一感を出すことも重要ですが、制作物の目的とターゲットユーザーを考慮して、あえて異なるカラーを使用することもあります。
- ・コーポレートカラー
- ・希望カラー
参考イメージ
参考にしたいデザインイメージを複数共有してもらいます。特にクライアント側でイメージがない場合は、画面を共有しながらいくつか提案し、イメージに近いものや遠いものをすり合わせてデザインの方向性を調整します。言葉だけで伝えると、「かっこいい」という表現でも人によってイメージするものが異なるため、実際にイメージを確認しながらすり合わせることが大切です。
- ・参考イメージ
Webサイトの場合特に必要な項目
必要な機能
クライアントが求める機能や特長についても詳しくヒアリングします。例えば、コンテンツ管理システム(CMS)やeコマース機能、ブログ、会員登録機能、SNSの埋め込みなど、具体的な機能要件を確認します。これにより、技術的な要件やデザインの方向性が明確になります。
- ・必要な機能
- ・お知らせ機能が必要か
- ・オンライン決済機能が必要か
- ・お問い合わせフォームが必要か
- ・SNS連携が必要か
更新頻度
ウェブサイト制作後の更新頻度を事前に確認しておきます。これにより、CMS(コンテンツ管理システム)の導入の必要性を判断することができます。また、更新頻度が低い場合は、お知らせやブログの優先順位を下げるなど、サイトの構成に反映させることができます。
- ・想定される更新頻度
規約系テキストについて
ウェブサイトに実装する機能によって、プライバシーポリシーなどの規約を掲載する必要があります。クライアント側に用意してもらう必要がありますが、ない場合はテンプレートを共有し、必要に応じて編集していただきます。遵守すべき法律や規制について確認し、適切な対応を行うことで、法的なトラブルを未然に防ぐことができます。
- ・(フォームを設置する場合)プライバシーポリシー
- ・(会員機能を実装する場合)利用規約
- ・(オンライン決済機能を実装する場合)特定商取引法に基づく表記
サーバーやドメインの情報
ウェブサイトの公開に必要なサーバーやドメインについても事前に確認しておきます。クライアントがすでに契約しているサービスがあればログイン情報を共有していただき、ない場合は適したサービスを提案します。PHPのバージョンなど、サーバーの状態も確認しておく必要があるため、早めの段階で情報を共有してもらうことが大切です。
- ・サーバー情報
- ・ドメイン情報
紙媒体の場合特に必要な項目
納品形式
弊社で入稿を行い印刷物を納品するか、クライアント側で入稿を行うことを想定してデータの状態で納品するかを確認します。印刷物納品の場合は印刷費予算を確認し、データ納品の場合、印刷会社によって形式が異なることがあるため、フォーマットについても事前に確認しておきます。
- ・納品形式
- ・印刷会社の指定
- ・印刷費予算
印刷仕様
印刷の仕様についても詳しく確認します。想定しているサイズ、紙質、部数など、具体的な印刷要件を把握します。サイズや紙質など特に指定がない場合は、予算に収まる範囲でデザインに最適なものを提案します。
- ・サイズ
- ・紙質
- ・部数
まとめ
クライアントとのヒアリングは、ウェブサイトやチラシ・パンフレットなどの制作において、成功の鍵となる重要なプロセスです。丁寧にヒアリングを行うことで、クライアントのニーズや目的を正確に把握し、期待を超える制作物を提供することができます。また、クライアントとの信頼関係を築くことで、プロジェクト全体の進行がスムーズになり、より高い満足度を得られる結果となります。
制作物の目的やゴール、必要なコンテンツやデザインの方向性、技術的な要件など、ヒアリングで確認すべき項目は多岐にわたりますが、これらをしっかりと把握することで、クライアントのビジョンを具体的な形にすることができます。定例ミーティングや適切なコミュニケーションツールの活用も、プロジェクトの円滑な進行に欠かせません。
最終的に、クライアントの要望を正確に反映した制作物を納品するためには、ヒアリングを通じて得た情報をもとに、最適な提案と柔軟な対応を行うことが重要です。
Ludiusでは、丁寧なヒアリングを行い、クライアントの期待を超える制作物を目指しています。ホームページ制作やチラシ、パンフレットなどの制作は、ぜひLudiusにご相談ください。