自社ECサイトの始め方|成功するための手順と必要情報とは

ウェブディレクター YUMI HAYASHI
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インターネットの普及により、ECサイト(電子商取引サイト)は今やビジネスの重要な柱となっています。すでにオフラインで成功している事業者が、オンライン販売を始めることで新たな顧客層にリーチし、ビジネスを拡大することが一般的になりました。

本記事では、既にオフラインで商品を販売している方がオンラインでの販売を始めるための具体的な手順と実践的なアドバイスを提供します。この記事を読むことで、ECサイトを成功させるために必要な知識とステップを身につけることができます。

ECサイトを始める前の準備

ECサイトを立ち上げる前には、まずしっかりとした準備が必要です。ここでは、ビジネスアイデアの明確化から事業計画の作成までのステップを詳しく解説します。

ビジネスアイデアの明確化

すでに店舗などオフラインで成功している商品やサービスをオンラインで販売する場合、既存顧客からのフィードバックを活かしましょう。
例えば、人気商品や特定のサービスを強化することで、ECサイトでも同様の成功を目指すことができます。

ターゲット市場と顧客の特定

顧客ペルソナを作成し、誰に向けて商品を販売するのかを具体的にイメージしましょう。ペルソナとは、理想的な顧客像を具体化したものです。年齢、性別、職業、趣味などを考慮し、詳細なペルソナを作成することで、マーケティング戦略が立てやすくなります。

競合調査と市場分析

ECサイト市場における競合他社を調査し、自分のビジネスがどのようにポジショニングできるかを理解します。競合他社のオンライン戦略を分析し、自分のビジネスが差別化できるポイントを見つけましょう。

ビジネスモデルの選定

既にオフラインでの取引形態がある場合、オンラインでのビジネスモデルはそれに合わせることが多いです。ECサイトのビジネスモデルには主にB2C(企業対消費者)、B2B(企業対企業)、D2C(ブランド直販)があります。自社の状況に最も適したモデルを選びましょう。

事業計画の作成

短期・中期・長期の目標を設定し、資金計画と予算管理を行うことで、オンライン販売の成功確率を高めることができます。事業計画には、売上目標、マーケティング戦略、資金調達計画などを盛り込みます。

必要なリソースとツール

ECサイトを立ち上げるには、適切なリソースとツールの選定が不可欠です。ここでは、ドメイン名の選定からECサイトプラットフォームの選択までを解説します。

ドメイン名の選定と取得方法

なるべく覚えやすく、ブランドに合ったドメイン名を選びましょう。例えば、ブランド名や商品の特徴を反映したドメイン名が効果的です。ドメイン取得の手順は簡単で、多くのサービスが提供されています。費用は年間1,000円〜3,000円程度が一般的です。

ホスティングサービスの選び方

ホスティングサービスは、ECサイトをインターネット上で公開するために必要です。
主要なホスティングサービスには、共有ホスティング、VPS(仮想専用サーバー)、専用サーバーなどがあります。サイトの規模や予算に応じて最適なサービスを選びましょう。例えば、小規模なサイトには共有ホスティング、大規模なサイトには専用サーバーが適しています。

ECサイトの構築方法

ECサイトを構築する方法には、フルスクラッチで作る場合と、既存のプラットフォーム(Shopify、WooCommerce、Wixなど)を使用する場合があります。それぞれの方法にはメリットとデメリットがあります。

フルスクラッチで作る場合

  • ・メリット:カスタマイズ性が高く、独自の機能やデザインを実現できる。完全に自社仕様のサイトを構築できる。
  • ・デメリット:開発に時間とコストがかかる。専門知識が必要で、外部の開発者やチームに依頼する必要がある場合が多い。維持管理も自社で行う必要があるため、リソースの確保が必要。

既存のプラットフォームを使用する場合

  • ・メリット:設定や管理が比較的簡単で、迅速に立ち上げられる。テンプレートやアプリが豊富に用意されており、多機能なサイトを簡単に構築できる。サポート体制が整っているため、技術的なサポートを受けやすい。
  • ・デメリット:カスタマイズの自由度が制限される場合がある。維持費がかかる(毎月のサブスクリプション費用)。プラットフォームに依存するため、長期的には制約がある場合がある。

ECサイトプラットフォームの選択

フルスクラッチではなくECプラットフォームを使用する場合、複数の選択肢の中からどれを使用するかを選ぶ必要があります。Ludiusでは主にShopifyを使用しますが、クライアントの要望や予算に応じて、WordPress(WooCommerce)やWixなども利用することがあります。
それぞれのプラットフォームにはメリットとデメリットがあるため、予算、納期、実装したい機能に応じて最適なものを選択することが大切です。Shopifyはデザインテンプレートやアプリが豊富で、比較的簡単に機能を追加できます。コーディングができる場合は、オリジナルのデザインにすることも可能です。

サイトデザインとユーザーエクスペリエンス

ECサイトのデザインは、ユーザーの購入意欲を高めるために非常に重要です。ここでは、テーマとテンプレートの選び方からナビゲーションとサイト構造の最適化までを解説します。

テーマとテンプレートの選び方

魅力的で機能的なデザインを選ぶことで、ユーザーの視覚的な満足度が向上します。
テンプレートは多くのプラットフォームで提供されており、ブランドイメージに合ったものを選びましょう。また、テンプレートによっても機能が異なる場合があるので、実装したい機能が含まれているかも注意して選択してください。

レスポンシブデザインの重要性

現在、多くのユーザーがスマートフォンやタブレットでECサイトにアクセスします。モバイルフレンドリーなデザインにすることで、どのデバイスからでも快適に利用できるサイトを作成しましょう。
具体例として、画像のサイズを自動調整する技術や、タッチ操作に最適化されたメニューを取り入れる方法があります。

ナビゲーションとサイト構造の最適化

ユーザーフレンドリーなサイト構造を設計することで、ユーザーが目的の情報に素早くアクセスできるようになります。
例えば、商品のカテゴリーを明確に分けてグローバルメニューに追加することで、ユーザーが探している商品をすぐに見つけやすくなります。また、フィルター機能を追加することで、ユーザーが価格、色、サイズなどの条件で商品を絞り込むことができ、より快適なショッピング体験を提供できます。

製品カタログの作成と管理

製品カタログの作成は、ECサイトの運営において非常に重要なステップです。ここでは、商品情報の入力方法から在庫管理システムの導入までを解説します。

商品情報の入力方法

魅力的な商品タイトルと説明文を作成し、SEOに強い商品ページを作成しましょう。具体的には、キーワードを自然に含めたタイトルや、詳細でわかりやすい説明文が求められます。
また、日本語の商品タイトルを入力すると、自動生成されるURLが長くなってしまうことがあるので、可能であれば短く簡潔なURLに変更すると良いでしょう。

高品質な商品画像の準備

商品を魅力的に見せて購入につなげるためには、商品画像が重要です。
商品を様々な角度から撮影し、背景を白にすることで商品が際立つようにしましょう。商品を使用しているイメージ写真も追加することで、購買意欲を高めることができます。
また、画像のファイルサイズを最適化することで、ページの読み込み速度を向上させることができます。

在庫管理システムの導入

ECサイトにおいては効率的な在庫管理方法を学び、商品の欠品や過剰在庫を防ぐことが大切です。
例えば、リアルタイムで在庫状況を確認できるシステムを導入することで、在庫管理が容易になります。在庫管理ツールを使用することで、入出庫の記録を自動化し、在庫レベルが一定の閾値に達したときにアラートを設定することができます。
これにより、常に適切な在庫レベルを維持し、販売機会を逃さないようにしましょう。

支払いと配送の設定 

ECサイトでは、支払いと配送の設定も重要です。ここでは、支払いゲートウェイの選択と設定から返品・交換ポリシーの作成までを解説します。

支払いゲートウェイの選択と設定

支払い方法の選択はユーザーの利便性に関わる問題なので、慎重に検討する必要があります。例えば、クレジットカード、PayPal、銀行振込、QRコード決済などの支払い方法があります。
支払い方法を増やすとユーザーの利便性は高まりますが、多すぎると売上の管理が複雑になってしまいます。ターゲットユーザーを踏まえ、それぞれのメリットとデメリットを比較し、最適なゲートウェイを選びましょう。

配送オプションと送料計算の設定

配送業者を選ぶ際は、信頼性、料金、配送速度、カスタマーサポートを考慮しましょう。
契約方法については、複数の業者から見積もりを取り、サービス内容を比較検討することが重要です。
送料計算では、商品の重量やサイズ、配送先地域に応じて設定します。例えば、送料を無料にすることで顧客満足度が向上し、購入率が上がる可能性がありますが、その場合は商品価格に送料を含める、もしくは一定金額以上の購入で送料無料にするなどの戦略を検討しましょう。

返品・交換ポリシーの作成

顧客満足度を高めるために、明確で公平なポリシーを設定し、公開と周知徹底を行いましょう。例えば、返品可能な期間や返品時の送料負担について具体的に記載することで、顧客が安心して購入できるようになります。

SEO対策とマーケティング戦略

ECサイトの成功にはSEO対策と効果的なマーケティング戦略が不可欠です。ここでは、基本的なSEO対策から有料広告の導入までを解説します。

基本的なSEO対策

キーワードリサーチでは、ターゲットユーザーが検索する可能性のあるキーワードを調査し、選定します。選定したキーワードを商品ページやブログ記事に適切に配置することで、検索エンジンでの表示順位を向上させることができます。
メタタグの設定では、タイトルタグ、メタディスクリプション、ヘッダータグにキーワードを含めることが重要です。
内部リンクの最適化では、関連するページ同士をリンクさせることで、サイト内の回遊性を高め、SEO効果を向上させます。

コンテンツマーケティングとブログの活用

ブログ記事を書く際は、読者に価値を提供することを念頭に置きましょう。
例えば、商品に関連する情報や使用方法を紹介するブログ記事を書くことで、サイトへのトラフィックを増やし、SEO効果を高めることができます。
テーマ選びでは、ターゲットユーザーの関心やニーズに基づいた内容を選定します。
ソーシャルメディアとの連携では、ブログ記事をSNSでシェアし、広範なオーディエンスにリーチすることで、サイトへの訪問者を増やすことが可能です。さらに、SNS上でのエンゲージメントを高めるために、記事へのリンクを含む投稿に加えて、ビジュアルコンテンツやハッシュタグを活用しましょう。

ソーシャルメディアマーケティングの基本

ソーシャルメディアマーケティングでは各プラットフォームの特性を理解し、それに応じたコンテンツを作成することが重要です。
例えば、Instagramでの商品写真をシェアすることで、ブランドの認知度を高めることができます。高品質な画像やストーリーズを使って視覚的にアピールしましょう。
Facebookでは、詳細な商品説明やユーザーレビューを投稿することで、信頼性を高めることができます。
X(Twitter)では、短いメッセージやハッシュタグを活用して、リアルタイムのコミュニケーションを促進します。エンゲージメントを増やすためには、フォロワーとの積極的な対話、定期的な投稿、そしてキャンペーンやコンテストの実施が効果的です。

有料広告の導入

Google AdsやFacebook Adsの基本設定と広告キャンペーンの最適化と分析について説明します。
まず、Google Adsではキーワードの選定が重要です。適切なキーワードを設定し、広告文を作成してターゲットオーディエンスにリーチします。Facebook Adsでは、オーディエンスの詳細なターゲティングが可能で、年齢、性別、興味、行動などを設定して広告を配信します。
広告キャンペーンの最適化では、定期的にパフォーマンスをモニタリングし、クリック率(CTR)やコンバージョン率を分析して改善点を見つけます。例えば、広告文や画像をテストして、より効果的なものを選ぶA/Bテストを行います。分析ツールを活用して、どの広告が最も効果的であるかを判断し、予算配分を最適化します。
ターゲットオーディエンスに向けた広告キャンペーンを展開することで、効率的に新規顧客を獲得できます。また、広告の成果を継続的に分析し、戦略を調整することで、広告の効果を最大化することが可能です。

サイトの公開と運営 

ECサイトを公開する前には、いくつかの重要なチェックリストを確認する必要があります。ここでは、サイト公開前の準備から継続的な運営と改善までを解説します。

サイト公開前のチェックリスト

最終確認事項とテスト方法、バックアップとセキュリティ対策について説明します。
まず、サイトを公開する前に、すべてのリンクが正常に機能しているか、商品の価格が正しく表示されているかを確認しましょう。
テスト方法としては、複数のデバイスとブラウザでサイトをチェックし、表示の崩れや動作不良がないか確認します。
また、購入プロセスを実際に試して、カートに商品を追加し、支払いまでの手順がスムーズに進むかをテストします。

バックアップとセキュリティ対策も重要です。
定期的にデータのバックアップを行い、万が一のデータ損失に備えましょう。バックアップはクラウドサービスや外部ストレージに保存すると安全です。
セキュリティ対策としては、SSL証明書の導入、強力なパスワードの使用、ファイアウォールの設定などを行いましょう。また、定期的にセキュリティソフトウェアを更新し、サイトの脆弱性をチェックすることも重要です。

サイトの公開と初期トラフィックの獲得

公開後の初期設定とプロモーション方法を紹介します。
まず、公開後の初期設定として、Google Analyticsやサーチコンソールを設定し、トラフィックのモニタリングとサイトのパフォーマンスを追跡できるようにしましょう。
また、SEO対策として、タイトルタグ、メタディスクリプション、Altタグなどを最適化し、検索エンジンでの表示順位を向上させます。

メールマーケティングでは、既存の顧客リストを活用し、新しいECサイトのオープンを知らせるメールを送ります。特典や割引コードを提供することで、初期の訪問者を増やし、購買意欲を高めることができます。
また、ブログ記事やプレスリリースを利用して、サイトの立ち上げを広く周知することも効果的です。

継続的な運営と改善

Google Analyticsなどの分析ツールを活用し、ユーザーフィードバックを収集して改善点を特定します。これにより、サイトのパフォーマンスを継続的に向上させることができます。
例えば、ユーザーの行動を分析し、どのページが最も訪問されているか、滞在時間が長いページや離脱率が高いページを確認することで、効果的な改善策を講じることができます。
さらに、ヒートマップツールを使用して、ユーザーがどの部分をクリックしているか、視覚的に把握することも有効です。
フィードバックフォームやアンケートを設置し、直接ユーザーの意見を収集することで、ユーザー体験を向上させる具体的なアイデアを得ることができます。

まとめ

ECサイトの制作手順や必要な情報について解説しました。ECサイト制作を成功させるためには、戦略的な準備、認知してもらうためのプロモーション、そして継続的な改善が非常に重要です。これらの要素をしっかりと実行することで、オンラインでの販売を効果的に展開し、持続可能な成長を達成できます。

LudiusではECサイトの制作はもちろん、戦略や事業計画の作成もサポートいたします。また、広告運用などのプロモーションもお任せください。
ECサイト制作のプロフェッショナルとして、貴社のビジネスを成功に導くお手伝いをいたします。詳細なご相談は、ぜひ当社までお問い合わせください。

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書いた人

ウェブディレクター YUMI HAYASHI

千葉県出身。Webを中心に制作ディレクションを担当しています。キャンプとお酒とボードゲームが好き。 Webディレクション検定取得(2023年12月)宣伝会議コピーライター養成講座基礎コース 金の鉛筆12本(2023年3月〜9月)朝日広告賞ファイナリスト(2024年)ウェブ解析士(2024年8月)

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