「UX検定基礎」を受験しました|過去問が無い資格試験の学習方法

ウェブデザイナー/イラストレーター NANASE MIYAMOTO
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2023年12月にUX検定基礎を受験しました。UX検定基礎は過去問が無い資格なので、どのように勉強を進めるか悩む人も多いのではないでしょうか。
今回は、UX検定基礎の概要や、私の学習方法、試験の感想などについてまとめてみました。これからUX検定基礎を受験する方に、少しでも参考になれば幸いです。

UX検定基礎を受験した理由

受験当時、私はWEBデザイナー3年目でした。
ブランディングなどの他業務に少しずつ携わる機会が増えていましたが、自分のスキル不足を痛感していました。UXに対する理解を深めることで、ビジネスマンとしてスキルアップしたいと考えたのが受験理由です。

また、弊社ではDX(デジタルトランスフォーメーション)支援事業サービスを提供しています。DXは単にデジタル化を推進する行為ではなく、提供すべきUXを定めた上で適切なDXを策定することが重要だと考えられています。UXを学ぶことで、DX支援事業にも活かせると考えたことも、受験理由の一つです。

UX検定基礎の概要

UX検定基礎とは

UX検定基礎は2022年に新設された試験で、UXインテリジェンス協会が主催しています。

UX検定基礎は、UX向上の取組みに欠かせないスキルとマインドを実践的かつ体系的に学ぶ、全ビジネスパーソン向けの資格試験です。
UXインテリジェンス協会では、デジタル前提の社会で、様々な業務や状況において「ユーザー」に向き合い価値提供を行うスキル・マインドセットを「UXインテリジェンス」と定義しており、一部のスペシャリストだけでなく、すべてのビジネスパーソンに求められるものと考えています。
本資格の取得によって、UXやHCD(人間中心デザイン)の基本的な概念やその実践方法のアウトラインを理解し、自らの業務に活用するための基礎知識を有することを証明できます。

UX検定基礎 HPより引用:https://school.nikkei.co.jp/special/ux_certification/

「UX(ユーザーエクスペリエンス)」という言葉から専門家のための資格をイメージするかもしれませんが、UX検定基礎はUXのプロではなく、全てのビジネスパーソンに向けた資格試験と位置付けられています。

なぜ全てのビジネスパーソンにUXの知識が必要なのか

昨今デジタル化が加速しており、私たちの日常にはデジタルが浸透しています。
良いサービスや製品を作るためには顧客情報の活用が必要と言われていますが、かつてデジタル上で取得できる顧客情報は、年齢、性別、購買履歴などの「属性データ」でした。
しかし現在では属性データだけではなく、「いつどこでどのような行動をしているか」といった「行動データ」が取得できるようになりました。
行動データを活用することで、より詳細なユーザー理解ができるようになります。これにより、ユーザーのニーズに即したサービスや製品を提供できるようになると考えられています。

また、かつてはサービスや製品が人々の生活の一部分を支援するだけでしたが、現在では製品がさまざまな顧客接点と連携し、人々の生活全体を支援できるようになりました。これにより、ユーザー体験を全面的に向上させることが求められています。

一般的に、UXはUXデザイナーに全て任せるものと認識されていることが多いです。しかし、サービスや製品を作る際、UXの専門家だけでなく、そこに携わる一人一人がUXに対する共通知識を持っていた方が、ユーザーにとってより良いものを作れるはずです。そのような考えのもと、全てのビジネスパーソンに向けて作られたUXの資格試験が、UX基礎検定です。

試験日程、試験形式、合格基準など

UX検定基礎はおよそ年に3回ほど実施されています。
そのほかの情報は以下の通りです。(2024年7月現在)

・実施形式:知識問題(単一選択式:100問)/ オンライン実施(自宅受験)
・試験時間:100分
・出題範囲:シラバスより出題(出題範囲を参照)
・受験料10,890円(税抜き 9,900円)

UX検定基礎 HPより引用:https://school.nikkei.co.jp/special/ux_certification/

気になる合格ラインですが、開示されていません…!まだ新設されたばかりの試験なので、回によって合格ラインが変動している可能性もありそうです。

UX検定基礎には過去問がない

UX検定基礎を受験する上で最も気をつけるべきことは、過去問が存在しないことです。
通常の資格試験なら過去問を繰り返し解くことで、出題の傾向や重点的に学習すべき箇所を把握できますが、UX検定基礎ではそのような勉強法が使えません。また公式参考書のようなものもなく、4冊の推奨図書が定められているのみなので、学習方法には工夫が必要です。

また、参考書はないのですが有料の動画コンテンツが用意されています。金銭的に余裕のある方や、効率的に学習を進めたい方、UXの知識をより深めたい方などは、動画コンテンツの活用を検討するのも良いかと思います。ただ全てのコンテンツを購入すると30,000円以上かかってしまい、今回は金銭的に厳しいため、私は4冊の推奨図書のみで学習を進めました…。

次の章で私の勉強法を紹介したいと思いますが、人によって適した勉強法は異なりますし、反省点もいくつかあります。ぜひ参考程度に読んでいただけますと幸いです!

UX検定基礎の勉強法

出題範囲

試験問題は下記のシラバスから出題されます。(2024年7月現在)
https://www.uxia.or.jp/certification/202305_ux_syllabus.pdf

UXに関する概念・基礎知識や、実践的なプロセスが出題範囲です。具体的には、学問の分類、学習目標、学習内容、重要ワードなどが定められており、これらをしっかりと理解することが求められます。

4冊の推奨図書について

UX検定基礎の勉強に推奨されている4冊の書籍は以下の通りです。それぞれの内容について簡単に説明します。

アフターデジタル2 UXと自由

デジタル化が進む現代におけるUXの重要性について詳しく解説されています。特に、デジタル技術がリアル世界に浸透することで、ユーザー体験がどのように変わっていくのかを理解するのに役立ちます。参考書ではなく読み物のような内容なので、楽しく読み進めることができると思います。

UXグロースモデル アフターデジタルを生き抜く実践方法論

「アフターデジタル2」の続編です。UXデザインの実践的な手法について詳しく紹介されています。どのようにUXデザインを改善し、成長させていくかを学べます。

人間中心設計入門(HCDライブラリー第0巻)

人間中心設計(HCD)の基本概念や手法について、初心者向けにわかりやすく解説されています。ユーザーを中心に考えるデザインアプローチを学ぶのに最適な一冊です。

ユーザビリティエンジニアリング: ユーザエクスペリエンスのための調査、設計、評価手法

ユーザビリティの重要性や、UXを向上させるための具体的な調査方法、設計手法、評価手法が詳しく説明されています。

私の勉強法について

前述のシラバスの「学習目標」を踏まえつつ、「重要ワード」の意味をしっかり理解する方向で学習を進めました。ただし、これらの重要ワードは推奨図書の中に体系立てて掲載されているわけではなく、かなり散らばっているため、勉強を進めるのが少し難しいかもしれません。また、用語を暗記するのではなく、概念を本質的に理解するように心がけました。
以下、私の具体的な勉強手順について、反省点を交えて紹介します。

手順①参考図書を読み込む

まずは参考図書を徹底的に読み込みます。個人的には、声に出して読むと頭にインプットされやすいと感じたので、できる限りめちゃめちゃ高速で音読しました。家族の邪魔にならないようになるべく小声で音読していたのですが、家族には最近いつもぶつぶつ言ってるねとよく言われていました。当たり前なのですが音読しなくても理解できる方は、声に出さずに読んだ方が良いと思います。

手順②重要箇所をまとめる

書籍を読み進めると、シラバスで定められた「重要ワード」が出てくるので、それに関する説明を重点的にまとめました。手書きでまとめる方が頭に入りやすいと感じたので、iPadのノートアプリに手書きでまとめていきましたが、学習範囲が広いのでしんどかったです…。
効率的に学習を進めるなら、手書きにこだわらずスプレッドシートなどを使ってまとめる方法も良かったかもしれません。

手順③Chat GPTを活用する

推奨図書だけでは拾いきれない重要ワードが結構多いです。自分が知らないキーワードはChat GPTを活用し、用語の意味を理解しました。普通に検索するよりも、Chat GPTだと複数のキーワードの意味を同時に吐き出してくれるので、効率的に学習することができました。


上記の流れで一通り勉強を終えたのですが、1周だけでは理解しきれない部分も多くありました。できれば2周、3周と繰り返したかったのですが、時間が迫っておりそのまま試験を迎えました。学習法の効率の悪さと計画性の無さに反省です。

受験の様子、受験結果

受験はオンライン形式

試験はPCのブラウザから受験します。私は自宅でUX検定基礎を受験しました。

試験はすべて4択問題で構成されていましたが、思ったより難しかったです。単純なキーワードの丸暗記ではなく、概念をしっかり理解していないと解けない問題が多かった印象です。
シラバスに載っていない内容も数問あったと記憶しています。そんなのアリなのか、と焦りました。(単に私の取りこぼしの可能性もありますが…。)
合格の可能性は50%くらいかなあ…という手応えで試験を終えました。

受験結果

受験から約1ヶ月後に合否通知メールが届くとのことでしたが、私の場合は2週間後に通知が届きました。
結果はなんと…





合格でした!!!!

思ったより高得点で、自分でも驚きました。シラバスの理解度には不安がありましたが、概念レベルでの理解を心がけていたのが功を奏したのかもしれません。ここ数年で私が受けた試験の中ではレベルの高い内容だったので、合格できてホッとしました。

試験を終えて

学習の進め方については反省点がありますが、UX検定基礎の受験を通して、UXの基礎的な概念や実践方法などを体系的に理解することができました。今回受験した資格はUXの基礎的な内容なので、今後機会があれば上位の試験にもチャレンジしたいと考えています。

また、上述の通り弊社では中小企業向けのDX支援事業サービスを提供しています。
単にデジタル化ツールを導入するのではなく、UXの策定を通して最適なDXを提案させていただきます。
DXを通してターゲットにより良いサービスや商品を提供したり、従業員の満足度を高めたいという方は、ぜひ弊社にご相談ください!
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書いた人

ウェブデザイナー/イラストレーター NANASE MIYAMOTO

広島県出身。Ludiusでは主にデザインを担当しています。痩せたいです。