送料設定がECサイト運営に与える影響
なぜ送料設定が大事なのか
ECサイト運営で意外と悩むのが「送料設定」。商品を買おうと思ってカートに入れたものの、購入手続きを進めると思ったより送料が高くて購入をためらってしまった、なんて経験はありませんか?実は、送料が適切に設定されていないと、せっかくカートに入れても途中で放棄されることが多いんです。
顧客が送料に納得すれば、購入に至りやすくなるし、逆に送料が不透明だったり高額だと「もうちょっと他のサイトも見てみようかな…」と、他のサイトに流れてしまうことも。送料は顧客体験にも影響を与える大事なポイントであり、売上にも大きく関わる要素です。
よくある送料設定の課題
送料設定でよく聞かれる悩みは「利益を圧迫する送料の負担」と「高額な送料による顧客離れ」の二つです。例えば、送料を無料にすることで購買意欲を高めることができても、その分利益が減ってしまう可能性があります。これは、特に小規模なECサイトにとっては悩ましいところ。
一方で、送料を高く設定すると、カート放棄が増える傾向にあります。顧客がカートに商品を入れた後、最後に送料が表示された際に「思ったより高い…」と感じ、結局購入を見送ることも多々あります。送料設定は、バランスが大切です。
ECサイトでの送料の決め方の基本
送料の決め方:固定か変動か
まず考えるべきなのは、「固定送料」にするか「変動送料」にするかです。
固定送料とは?
固定送料は、どんな商品でも一律の送料を設定する方法です。「全国一律500円」など、シンプルで分かりやすいというメリットがあります。特に商品サイズが均一だったり、小規模なショップではこの方法が取りやすいです。ただし、商品ごとに大きさや重さが異なる場合、コストが偏るリスクがあります。
変動送料とは?
一方、変動送料は商品の大きさや重さ、配送先に応じて料金を変える方法です。例えば「北海道や沖縄はプラス○○円」といった形で、運送コストに見合った料金設定ができます。送料が実際のコストに近いため、利益確保の観点では安心ですが、顧客にとっては送料が思ったより高いと感じることも。料金設定をわかりやすく説明しておくのがポイントです。
地域別送料の重要性
日本全国、あるいは海外へ商品を発送する場合、地域別送料の設定は欠かせません。たとえば、北海道や沖縄、離島など、配送に特にコストがかかる地域があります。これらの地域には、適切な送料を設定しておくことで、コストをカバーしつつ、顧客にも納得感のある料金を提示できます。
送料設定には、運送会社の料金表をしっかり確認することが重要です。これを基に、地域ごとの料金を算出し、ECサイトに反映させることで、送料による利益圧迫や顧客離れを防げます。
送料を決める際のコスト計算
送料を決めるとき、考慮すべきコストには、発送費用だけでなく、梱包費や保管費、さらには時間的コストも含まれます。これらを正確に把握し、送料に反映させることで、利益をしっかり確保しつつ、適切な料金を提示できます。また、競合サイトの送料もチェックし、価格競争力を維持することも重要です。
送料設定の具体例
送料設定にはさまざまなアプローチがありますが、実際のビジネスにどう活かすかを考えると、具体例を見ることが役立ちます。ここでは、送料の設定方法についての具体例をいくつかご紹介します。
固定送料の具体例
例:全国一律500円の設定
全国どこでも同じ送料にする場合、特に小規模なECサイトや取り扱う商品のサイズや重さがほぼ同じ場合に有効です。たとえば、アクセサリーや化粧品など、比較的軽くてサイズが均一の商品を販売するECサイトでは、送料を一律に設定することで、顧客にとっても分かりやすいですし、カート放棄を防ぐ効果もあります。
【こんな場合におすすめ】
- ・商品が小さくて軽い
- ・取り扱う商品がほぼ同じサイズ、重量
- ・配送先にあまりバラつきがない
例:送料無料で商品価格に送料を含める方法
もう一つの固定送料の戦略として、「全国一律で送料無料」にし、送料分を商品価格に最初から含める方法があります。これにより、顧客には送料を気にせず買い物を楽しんでもらえます。例えば、商品1個あたり1,000円の送料がかかる場合、販売価格にその送料を含め、最初から4,000円の商品を5,000円として提示する形です。この方法は、特に「送料無料」に敏感な顧客に効果的です。
この方法は、「送料を別途支払うのが面倒」と感じる人にとって非常に魅力的です。ただし、商品価格がやや高く見える可能性があるため、他社製品との価格比較をされた場合には不利になる可能性もあります。とはいえ、購入ステップがシンプルになり、カート放棄を防ぐ効果も期待できます。
【こんな場合におすすめ】
- ・購入プロセスを簡素化したい
- ・「送料無料」を前面に押し出して訴求したい
- ・商品価格に多少の上乗せをしても競争力がある場合
例:一定金額以上で送料無料
もう一つの固定送料の戦略は、一定金額以上の購入で送料無料にする方法です。例えば、5,000円以上の購入で送料無料にすることで、顧客に追加購入を促し、平均注文額を引き上げることができます。この方法は、ファッションや日用品のECサイトなどでよく見られる施策です。
【こんな場合におすすめ】
- ・平均注文額を引き上げたい
- ・リピーターや定期購入者を増やしたい
変動送料の具体例
例:地域別送料の設定
地域ごとに送料が異なる設定は、日本全国や海外に配送する場合に有効です。たとえば、「関東地域500円、北海道・沖縄800円」といった設定にすることで、実際の配送コストをカバーしながら顧客に公平感のある料金を提示できます。大型家具や家電を取り扱うサイトなど、配送コストが高い商品の場合は特に有効です。
【こんな場合におすすめ】
- ・大型商品を扱う
- ・遠隔地や離島に配送する必要がある
- ・国際配送を行う場合
例:重量別送料の設定
重量によって送料が変わる設定も、配送コストを正確に反映できる方法です。例えば、「1kg未満は300円、1〜3kgは500円、3kg以上は800円」といった設定にすることで、商品の重さに応じた送料を顧客に提示できます。この設定は、重い商品やまとめ買いが多いECサイトに適しています。
【こんな場合におすすめ】
- ・商品の重量が大きく異なる
- ・まとめ買いが多い
送料設定を最適化したECサイトの成功例
例:ファッションサイトの送料戦略
あるファッションECサイトでは、国内のどこにでも一律の送料を設定し、さらに「10,000円以上の購入で送料無料」というキャンペーンを実施しています。この結果、顧客はより高額な商品を購入する傾向が強まり、サイトの平均注文額が20%増加しました。また、送料無料キャンペーンを定期的に行うことでリピーターも増え、カート放棄率が大幅に減少しました。
【ポイント】
- ・顧客にとってシンプルな送料設定
- ・送料無料キャンペーンの活用でリピーター増加
例:健康食品サイトの地域別送料
健康食品を販売しているあるECサイトでは、地域別に送料を設定し、特に離島や遠隔地への配送には追加料金を設けています。このサイトでは、全国展開しながらも、配送コストをうまくカバーし、利益を確保しています。また、顧客には事前に地域別送料が明確に提示されているため、購入前に送料がわかりやすく、顧客満足度が高いです。
【ポイント】
- ・地域別送料を透明に提示
- ・遠隔地への配送コストをカバーしつつ、利益を確保
Shopifyでの送料設定方法
Shopifyを使っている場合、送料設定は思った以上に柔軟で簡単です。Shopifyの管理画面を使って、送料を固定にするか、地域別に設定するかなど、いろいろなオプションが用意されています。これにより、商品や販売地域に応じた送料設定が可能です。
1. 固定料金の設定方法
・Shopifyの管理画面から「設定」→「配送と配達」に進みます。
・「基本の配送料>一般設定」を開きます。ここでは「全国一律500円」など、全ての注文に対して同じ料金を設定できます。
・デフォルトでは海外への配送が可能な設定になっています。国際配送に対応しない場合は削除しておきましょう。「配送エリア>国際」の右にある「…」マークをクリックし、削除します。
・次に、国内での送料を設定します。通常配送の横の「…」マークから「送料を編集」をクリックしてください。
・設定画面が開くので、「価格」の欄に任意の送料金額を入れて「完了」をクリックします。右上に表示される「保存」をクリックするのを忘れないように気を付けてください。
2. 地域別送料の設定方法
Shopifyでは、地域ごとに異なる送料を設定することも可能です。たとえば「北海道と沖縄は送料800円、それ以外は500円」といった具合に、地域ごとの送料設定が行えます。特定の地域に対して柔軟に料金を変更することで、顧客に公平感を持たせることができます。
・地域ごとに送料を変えたい場合、「国内配送・日本」の右にある「…」をクリックし、「エリアを編集する」を開きます。
・配送エリアの設定画面に移ります。日本のみが選択されている状態です。日本の右にあるトグルを開くと都道府県ごとにチェックをつけることができます。北海道と沖縄のみ送料を別途設定したい場合は、北海道と沖縄のチェックを外してください。
・次に、チェックを外した北海道と沖縄の送料を設定します。「配送エリアを追加する」をクリックしてください。
・任意のエリア名を入力し、北海道と沖縄のみにチェックを入れて保存します。
・これで配送エリアが分けられた状態です。送料を設定する必要があるので、追加した配送エリアの下の「送料を追加」をクリックします。
・固定料金の設定時と同様に、カスタム料金の名前と金額を入力して送料を設定してください。
これで都道府県ごとに送料を分けて設定ができました。なお、都道府県より細かい単位で設定するには別途アプリを使用する必要があります。離島には別途送料を指定したいという場合にはアプリの導入を検討してください。
3. 一定金額以上で送料無料の設定方法
一定金額以上の購入で送料無料にする戦略は非常に有効です。顧客にとっては「お得感」があり、ついもう一つ商品を追加してしまうかもしれません。Shopifyで簡単に設定することができます。
・まず基本の送料を設定します。通常配送の右の「…」から「送料を編集」を開いてください。
・送料の設定画面で、条件付き価格を設定します。「注文額に基づく」にチェックが入った状態で、最高価格を入力します。例として10,000円以上の注文は送料無料としたい場合、最高価格に9,999を入力してください。
・次に、10,000円以上の場合の送料を設定します。「送料を追加」をクリックしてください。
・「注文額に基づく」を選択し、最低価格に10,000円を入力します。送料は無料なので、価格は0円のまま保存してください。
この手順で、10,000円未満は送料1,000円、10,000円以上の注文では送料無料の設定ができました。注文金額によって自動で切り替わるため、ユーザーが複雑な手順を踏む必要はありません。
Shopifyの送料設定における注意点
地域別送料の設定方法に関するセクションで述べた通り、都道府県より細かい単位で設定するにはデフォルトの機能ではサポートされていないため、アプリを使用する必要があります。離島には別途送料を指定したいという場合には郵便番号単位で送料を設定できるアプリを使用してください。
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まとめ
送料設定はECサイト運営において大きな要素を占めます。顧客が安心して購入できるように、シンプルかつ透明性のある送料設定を心がけることが大切です。本記事では、送料設定の基礎から、Shopifyでの具体的な設定手順までをご紹介しました。
送料設定は、利益確保のためだけでなく、顧客体験を向上させるための重要なツールです。地域別送料や変動送料を活用し、運営者と顧客の両方にメリットがある設定を行いましょう。最後に、送料設定は定期的に見直し、顧客の声や競合の動向を参考に最適化していくことで、売上やリピート率を伸ばすことができるはずです。