ECサイトでのカゴ落ちを防ぐ!効果的な対策とShopifyでの設定方法

ウェブディレクター YUMI HAYASHI
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自社のECサイトで、どれくらいのカゴ落ちが発生しているか把握していますか?
実は、ECサイト全体でのカゴ落ち率の平均は約70%!つまり、10人中7人がカートに商品を入れても購入せずに離脱していることになります。しかし、カゴ落ちの原因を知り、適切な対策を講じることで購入率を改善することが可能です。

本記事では、カゴ落ちの原因や発生理由を解説し、Shopifyでカゴ落ちを確認・改善する方法についてご紹介します。

カゴ落ち率の平均と業界データ

ECサイトのカゴ落ち率は 平均約70%に達するとされており、これは10人のうち7人がカートに商品を入れたまま購入しないことを意味します。業界によってカゴ落ち率には違いがあり、以下のような傾向があります。

業界別のカゴ落ち率(2022年)

  • ファッション・アパレル:87.79%
  • ・ベビー・子供用品:84.86%
  • ・小売:71.24%
  • ・化粧品:70.11%
  • ・家電:50.03%
  • ・食料品:50.03%

出典:「49 Cart Abandonment Rate Statistics 2025」/Baymard Institute社(アメリカ)
出典:「「カゴ落ち」とは?業種別の平均カゴ落ち率、カゴ落ち率計算方法、原因と対策を解説」/PUSH CODE(EDOCODE)

業界によってカゴ落ち率には大きな差があり、特にファッション・アパレルやベビー・子供用品といったカテゴリでは80%を超える高いカゴ落ち率が見られます。
これらの業界では、比較検討の時間が長くなったり、サイズやデザインの選択肢が多いことで、購入をためらうユーザーが多いことが要因と考えられます。

一方、家電や食料品などの業界ではカゴ落ち率が比較的低い傾向 にあります。これは、これらの商品が生活必需品として購入の意思決定が速いためと考えられます。

しかし、どの業界でも 送料の明示や決済方法の充実、カゴ落ち防止施策の導入 によって、カゴ落ち率の改善は可能です。購買の障壁を減らし、スムーズに購入できる環境を整えることが重要になります。

カゴ落ちの主な原因

カゴ落ちが発生する理由はさまざまですが、主に以下のような要因が挙げられます。

送料や手数料が高い

ユーザーは、チェックアウト時に予想外の追加料金が発生すると離脱しやすくなります。特に「送料無料」と思っていたのに送料が発生すると、購入を諦めるケースが多いです。

会員登録が必要で手間がかかる

購入前に会員登録を求められると、多くのユーザーが面倒に感じて離脱します。特に、初回購入のユーザーは個人情報の入力を避けたいと考えます。

希望する決済方法がない

自分が使いたい決済手段がないと、ユーザーは他のサイトで購入しようと考えます。特に、クレジットカード以外の決済手段が不足している場合、離脱率が上がります。

カゴ落ちを防ぐためには、これらの要因を把握し、購入完了までのプロセスをスムーズにすることが重要です。

Shopifyでのカゴ落ち率を確認する方法

カゴ落ちを防ぐためには、まず現状のカゴ落ち率を正確に把握することが重要です。
Shopifyにはカゴ落ち率を確認するための基本的な分析機能があり、さらにGoogleアナリティクス(GA4)を活用することで、より詳細なデータを取得できます。
ここでは、ShopifyダッシュボードとGA4を使ったカート離脱分析の方法を解説します。

Shopifyダッシュボードでの基本確認

Shopifyには標準の分析ツールが搭載されており、簡単にカゴ落ち率を確認できます。

Shopify管理画面にログインし、左側メニューの 「分析>レポート」 を開きます。

②検索欄に「コンバージョン」と入力し、「時間の経過によるオンラインストアのコンバージョン」を開きます。

③「カートに追加済み」と「コンバージョンに結びついたセッション数」を確認します。

④下記の式に従ってカゴ落ち率を計算します。
カゴ落ち率(%)=(1 −「コンバージョンに結びついたセッション数」÷「カートに追加済み」)×100
添付画像のテスト用データだと、【(1-2÷8)×100=75%】で、カゴ率は75%となります。

なお、Shopify Plusを利用している場合は 「ファネル分析」 を活用し、購入プロセスのどの段階で離脱が発生しているかを細かく確認することが可能です。

Googleアナリティクス(GA4)を活用したカート離脱分析

GA4を導入している場合、より詳細なカート離脱データを分析できます。

確認手順

GA4の管理画面 にログインし、左側メニューの 「探索」 をクリックします。

②「ファネル分析」 を選択し、新規探索を作成します。

③設定のステップの右にある鉛筆マークをクリックします。

④下記の通り設定し、適用します。

・ステップ1:add_to_cart
・ステップ2:begin_checkout
・ステップ3:purchase

このデータを分析することで、カートに追加後に離脱するユーザーが多いのか、決済画面で離脱しているのか を特定できます。
また、GA4では 「カート追加数」と「購入数」の比較 も可能なため、購入完了率の改善に役立つ具体的なポイントを発見できます。
これらのデータを基に、適切なカゴ落ち対策を講じることで、売上アップにつなげることができます。

Shopifyでカゴ落ちを減らす改善策

カゴ落ちを防ぐためには、ユーザーの購買ハードルを下げ、スムーズに決済できる環境を整えることが重要です。
ここでは、「すぐに実行できる施策」「少し工夫が必要な施策」のカテゴリーに分けて、効果的なカゴ落ち対策を紹介します。

費用をかけずにすぐ実行できる施策

送料や手数料を明確にする

カゴ落ちの最大の原因の一つが 「予想外の送料や手数料」 です。
ユーザーは、商品ページでは見えていなかった送料や手数料が決済画面で表示されると、購入をためらう傾向があります。

【対策】

  • ・商品ページに送料を明記(「全国一律500円」など)
  • ・一定額以上の購入で送料無料 のキャンペーンを実施
  • ・手数料が発生する場合は事前に表示

送料を最初から明確にしておくことで、ユーザーの心理的負担を軽減し、カゴ落ちを防ぐことができます。
送料の決め方について詳しくはこちらの記事をご確認ください。

ゲスト購入を可能にする

購入時に会員登録を必須にすると、ユーザーは面倒に感じて離脱しやすくなります。
特に初めての購入者は、会員登録に抵抗を持つことが多いです。

【対策】

  • 「ゲスト購入」を許可する(チェックアウト時に「会員登録せずに購入」オプションを追加

【設定方法】

①管理画面にログインし、「設定>チェックアウト」を開きます。

②「チェックアウト前にお客様にアカウントへのログインを要求する」のチェックを外します。ここのチェックが外れていればゲスト購入が可能な状態になっています。

ゲスト購入を可能にすることで、ユーザーの手間を減らし、スムーズな決済を促します。

決済方法を増やす

ユーザーが希望する決済方法がない場合、別のサイトで購入する可能性が高くなります。
特にクレジットカード以外の決済手段を求めるユーザーも多いため、多様な支払い方法を用意することが重要です。

【対策】

  • ・クレジットカード以外に PayPay・Amazon Pay・Apple Pay・Google Pay を導入
  • ・後払い決済(Paidyなど) や分割払いを追加

決済方法を増やすことで、幅広いユーザー層に対応し、購入率を向上させることができます。
決済方法の選び方や設定方法はこちらの記事をご確認ください。

少し工夫が必要な施策

商品ページのUXを最適化

ユーザーがスムーズに購入手続きを進められるよう、商品ページのデザインや機能を最適化することが重要です。
特に、モバイルでの操作性 を意識することがカゴ落ち対策につながります。

【対策】

  • ・購入ボタンを目立たせる(色やサイズを調整し、視認性を向上)
  • ・「あと〇円で送料無料」などのインセンティブ表示

使いやすいカートページを設計することで、離脱率を下げ、コンバージョン率を向上させることができます。

カゴ落ちリカバリーメールを活用

ユーザーの中には、単に「あとで買おう」と思って離脱しているケースもあります。
こうしたユーザーに対しては、カゴ落ちリカバリーメール を活用することで、購入を促すことが可能です。

【対策】

  • ・カート放棄後24時間以内にリマインドメールを送信
  • ・限定クーポンを提供し、購入を後押し
  • ・「人気商品なので在庫がなくなる可能性があります」などの緊急性を伝える

【設定方法】

①管理画面にログインし、左メニューから「マーケティング>自動化」を開きます。

②右上の「テンプレートを表示」をクリックします。

③オートメーションテンプレートのうち、「カゴ落ちを回復させる」を選択します。

④ポップアップが開きます。Shopifyメールをインストールしていない場合はインストールをしてから「編集」をクリックしてください。

⑤フロー画面が開くので、最後のブロックを選択して「メールを編集」をクリックします。

⑥メールの件名や本文テキスト、デザインなどを編集します。編集を終えたら右上の「アクティブに設定」で保存してください。

⑦メールの編集を終えたら右上の「ワークフローをオン」でカゴ落ちメールが有効になります。

このテンプレートを使用することで、ユーザーが商品をカートに入れたが、チェックアウトに進まなかった場合にマーケティングメールを送信します。なお、過去14日以内に放棄されたチェックアウト、カート、または商品閲覧メールを受け取った顧客は除外されます。

まとめ

カゴ落ちはECサイト運営において避けられない課題ですが、適切な対策を講じることで、購入率を大幅に改善できます。

まず、カゴ落ち率を把握することが重要 です。ShopifyのダッシュボードやGoogleアナリティクス(GA4)を活用し、どの段階でユーザーが離脱しているのかを分析しましょう。
次に、ユーザーの購入ハードルを下げる施策を実施 します。送料の明確化、ゲスト購入の許可、決済方法の充実は、すぐに導入できる効果的な対策です。さらに、リカバリーメールなどのマーケティング施策を活用することで、カート放棄したユーザーを呼び戻すことができます。

カゴ落ち対策は 一度実施して終わりではなく、継続的な改善が必要 です。データを元にPDCAを回し、ユーザーにとって購入しやすい環境を整えることで、売上アップにつなげましょう。

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書いた人

ウェブディレクター YUMI HAYASHI

千葉県出身。Webを中心に制作ディレクションを担当しています。キャンプとお酒とボードゲームが好き。 Webディレクション検定取得(2023年12月)宣伝会議コピーライター養成講座基礎コース 金の鉛筆12本(2023年3月〜9月)朝日広告賞ファイナリスト(2024年)ウェブ解析士(2024年8月)

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