ウェブ解析士が解説!ECサイトの戦略設計|販売・展開モデル別成功法則

ウェブディレクター YUMI HAYASHI
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ECサイトの成長には、戦略の策定が不可欠です。本記事では、単品販売・型番販売・単店舗展開・多店舗展開の4つの戦略を詳しく解説。それぞれのメリット・デメリット、成功のポイントを事例とともに紹介します。適切な戦略を選び、売上を最大化しましょう!

ECサイトに戦略が必要な理由

EC市場の競争は年々激しくなり、戦略のないECサイトは生き残るのが難しい時代になっています。単に商品を販売するだけではなく、価格競争を回避し、自社に適した販売モデルを選択することが成功の鍵となります。このセクションでは、ECサイトに戦略が必要な理由を3つの観点から解説します。

競争が激化するEC市場

EC市場は拡大を続けていますが、それに伴い競争も激化しています。特に、Amazonや楽天などの大手モールの影響力が強まり、中小ECサイトが埋もれやすくなっているのが現状です。

  • 広告コストの上昇により、利益確保が難しくなる
  • 消費者の選択肢が増加し、ロイヤルティが低下
  • 競合との差別化が必須だが、安易な価格競争は利益を圧迫

このような環境下で戦略を持たずにECサイトを運営すると、広告費がかさむばかりで売上が伸びないという事態に陥ります。成功するためには独自の戦略を明確にし、ブランディングや販売チャネルの選定を適切に行うことが必要です。

価格競争に巻き込まれないためのブランド戦略

ECサイトでは、価格が比較されやすく、価格競争に巻き込まれやすいという課題があります。特に型番販売(広く流通している商品)を取り扱う場合、価格が決定的な要因になりやすいため、独自のブランド戦略を持たないと利益が圧迫されてしまいます

価格競争を避けるためには、価格以外の価値を提供することが重要です。

  • ブランド価値を訴求する(例:「オーガニック」「職人仕上げ」などの特徴を打ち出す)
  • 「ここでしか買えない」商品を展開する(例:自社限定パッケージ、カスタマイズ対応)
  • 付加価値を提供する(例:手厚いカスタマーサポート、長期保証、購入者特典)

たとえば、Appleは高価格帯でありながら、デザイン・ブランド・独自のエコシステムを強みにすることで、価格競争に巻き込まれることなく高い利益率を維持しています。ECサイトでも、単なる価格勝負ではなく、ブランドの価値を高める戦略が求められます

自社に合った販売モデルを選ぶことの重要性

ECサイトには「単品販売」や「型番販売」、「単店舗展開」や「多店舗展開」など、さまざまな販売モデルがあります。これらのモデルは自社の商品やターゲット層に適したものを選ばないと、効率的な運営ができません
自社の商品特性やターゲットに合った販売戦略を選ぶことが、成功のカギとなります。

ECサイトの主要な販売モデル

ECサイトの販売モデルは、大きく「単品販売」と「型番販売」の2つに分類されます。それぞれターゲットや販売戦略が異なるため、適切なモデルを選ぶことがポイントです。

単品販売

単品販売は、特定の商品に特化し、ブランド価値を高めながら販売するモデルです。自社ブランドの商品を持つ場合、価格だけでなく「ストーリー」や「品質のこだわり」を前面に押し出し、顧客との信頼関係を築くことが重要になります。

また、単品販売の場合、1つの商品を売るだけではなく同じブランドの商品群を訴求していくことが戦略の基本です。アプローチできる顧客が限られるため、新規顧客を獲得するだけでなく、既存顧客に追加購入を促す戦略(LTV向上)が必要となります。そのために有効なのが、アップセル(高単価商品への誘導)とクロスセル(関連商品の提案)です。顧客の購買意欲を高め、売上を最大化する工夫が単品販売では特に重要になります。

型番販売

型番販売は、広く流通している商品のラインナップを充実させ、市場全体で認知を獲得するモデルです。型番が認知されていれば売り上げは伸びやすくなりますが、価格競争が激しくなり、商品管理コストなどの変動費も高くなる傾向になります。例えば、家電やPC周辺機器、スポーツ用品などは、多くのECサイトで同じ商品が販売されるため、競争が激しくなります。

成功のポイントは品揃えの充実リピーター戦略。特定のカテゴリに特化し、消費者が「このサイトなら品揃えが豊富」と認識することで、指名買いされるECサイトを目指すことが大切です。

ECサイトの展開モデル

ECサイトの運営形態には、「単店舗展開」「多店舗展開」という2つの主要なモデルがあります。どちらを選ぶかによって、運営コスト・集客方法・売上の安定性などが大きく異なります。

単店舗展開

単店舗展開は、自社ECサイトのみで販売を行うモデルです。
Amazonや楽天市場などのECモールには出店せず、独自のブランドサイトを運営することで、自由度の高いマーケティング施策を実施できるというメリットがあります。

また、出店手数料が不要なため、運営コストが抑えられることも大きな利点です。ただし、販路が限られるため、集客の難易度が高くなるというデメリットもあります。

単店舗展開ではリピーターを増やす戦略が特に重要です。ECモールのように膨大なユーザー数がいるわけではないため、一度獲得した顧客に何度も購入してもらう仕組みを構築する必要があります。

多店舗展開

多店舗展開は、ECモール(Amazon、楽天、Yahoo!ショッピングなど)や他のプラットフォームにも出店し、複数の販路を活用する戦略です。流入経路(チャネル)の数が増える分、売上が上がりやすくなりますが、店舗維持コストなどの固定費が高くなりがちです。

多店舗展開の際、ECモールと自社ECのバランスをどう取るかが重要になります。例えば、Amazonでは「大量販売」、自社ECでは「ブランド強化」と目的を分けることで、多店舗展開のメリットを最大化できます。

ECサイトの戦略ごとの組み合わせ

ECサイトの販売モデルには「単品販売」「型番販売」があり、さらに「単店舗展開」「多店舗展開」の選択肢があります。
これらをどのように組み合わせるかによって、ECサイトの成長戦略が大きく変わります。

ここでは、4つの主要な戦略パターンと、それぞれの成功法則について解説します。

単品販売×単店舗展開

ブランド価値を最大化し、ロイヤリティの高い顧客を育成する戦略です。競争優位性のある自社商品で、利益率の高い事業展開に適した戦略です。

  • ・強み:ブランドの世界観を統一し、高単価で販売可能
  • ・課題:プロモーションにコストをかけなければ拡販が困難

他社と差別化できる魅力的な商品であること、プロモーションにコストと労力をかけることが必要になります。また、クチコミが増えるような基本的なサービスを充実させ、LTV(顧客生涯価値)を高める工夫が必要です。売上拡大のため、場合によっては他店舗展開も視野に入れる必要があるかもしれません。

【単品販売×単店舗展開のECサイト例】

いずれも自社の公式サイトが主な販売チャネルとなり、ブランドの世界観やストーリーを強く打ち出しています。

単品販売×多店舗展開

ブランド力を維持しながら販路を拡大し、売上を加速させる戦略です。競争優位性のある自社商品で、売上を上げる事業展開に適しています。

  • ・強み:ECモールの集客力を活用しながら、ブランドの認知度を拡大
  • 課題:多店舗展開による在庫・価格管理の負担が増える

ブランド価値を保ちつつ、多くの販路で売上を伸ばすことが可能です。単店舗よりも拡販は容易になりますが、チャネルの数が多いほど固定費が増えるため、受発注や在庫の管理を統一し、効率化することでなるべく固定費を下げる工夫が必要です。

【単品販売×多店舗展開のECサイト例】

ブランドを確立しつつ、Amazonや楽天、ZOZOTOWNなどのモールでも販売を行なっています。

型番販売×単店舗展開

SEO対策を駆使し、価格競争を回避しながら利益を確保する戦略です。流入元はオーガニック検索が最も多くなるように、SEO対策を実施し、多くの商品を掲載します。仕入れと品揃えで価格と商品優位性を確保でき、集客力のある事業展開に適した戦略です。

  • ・強み:競合が多い型番販売でも、自社サイトのSEOやコンテンツマーケティングで戦える
  • ・課題:ECモールの集客力を活用しないため、オーガニック流入に頼る戦略が必要

価格に優位性を求められるため、広告にコストをかけすぎず、SEO対策で流入を取りながら安く多くの商品を取り扱うことがポイントです。また、他社が販売していない、独占販売契約の商品群を取り扱うことが理想です。この場合、多店舗に展開した際に市場を独占できるようになります。

【型番販売×単店舗展開のECサイト例】

いずれもメーカー品の型番が決まった商品を取り扱っており、他モールには出店していません。

型番販売×多店舗展開

ECモールを最大限活用し、市場シェアを拡大する戦略です。仕入れ力に加え、オーガニック検索のデジタルマーケティングスキルと独自商品開発力がある事業に適しています。

  • ・強み:販路が広がり、売上が安定しやすい
  • ・課題:価格競争が激しく、差別化のための付加価値が求められる

顧客満足度を高めるための製品開発と、リピート購入しやすいインターフェースが必要です。独自の製品や強み、効果的な宣伝方法がないと大手モールとの競争となるため成長が困難になってしまいます。検索エンジン、ソーシャルメディアでの情報発信を頻繁にできる仕組み作りが必要です。

【型番販売×多店舗展開のECサイト例】

まとめ

ECサイトの成功には、自社の商品特性やターゲットに合った販売戦略を選ぶことが不可欠です。これらの戦略を組み合わせながら、自社に最適なモデルを選び、ECサイトの成長を加速させましょう!

LudiusはECサイトの戦略設計・運用コンサルを提供するShopifyパートナーです。販売モデルの選定からプロモーションまで、売上を最大化する戦略をご提案いたします。

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書いた人

ウェブディレクター YUMI HAYASHI

千葉県出身。Webを中心に制作ディレクションを担当しています。キャンプとお酒とボードゲームが好き。 Webディレクション検定取得(2023年12月)宣伝会議コピーライター養成講座基礎コース 金の鉛筆12本(2023年3月〜9月)朝日広告賞ファイナリスト(2024年)ウェブ解析士(2024年8月)

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