大学院の修了と他社への就職を機に、退職することになったため、約2年間働いたLudiusでの経験を振り返りながら、業務を通じて得た学びや気づきを整理し、感謝の気持ちとともに記してまいります。
入社のきっかけ
大学院在学中に中小企業診断士の資格取得を目指していた私は、学習の中で得られる知識と、現場での実務との間にギャップを感じていました。制度や理論は理解できても、それが実際にどのように使われているのか、現場ではどのような工夫がされているのかまでは、教科書や問題集からは見えてこなかったためです。できることなら、資格取得前の段階でも実務に触れ、学びを深めたいと考えるようになりました。
しかし当時は、資格もまだ取得しておらず、就業経験もなかったため、一般的な求人サイトでそうした機会を見つけるのは困難でした。そうした中、Ludiusでアルバイトとして勤務していた方に声をかけていただき、同社に所属する中小企業診断士の先生をご紹介いただいたことがきっかけで、ご縁をいただくことになりました。
先生と面談させていただいた際には、未経験の学生であっても、学びを活かしながら挑戦できる環境があると感じ、Ludiusで働くことを決意いたしました。業務内容は未知のことばかりでしたが、未知の内容であっても、自分の学びを実践で試してみたいと素直に思えたことを覚えています。
入社当初の不安
Ludiusに入社した当初は、期待と同時に不安も抱えていました。アルバイト経験はあったものの、普段かかわりのない現場に立つのは初めてであり、知識も経験も不足している状態で、自分が役に立てるのか、学業と両立できないくらい大変だったらどうしようという考えで頭がいっぱいでした。特に、Ludiusの業務の多くが、専門的な内容であり、クライアントとの信頼が大事だということも感じていました。
最初に取り組んだ業務は、防災に関するWebサイトの草案作成でした。テーマそのものに馴染みがなかったことに加え、情報の整理や構成の工夫など、これまでに培ってきたスキルとは全く異なる角度のものが求められました。調べるべきことが多く、どの程度まで情報を掘り下げるべきか判断がつかず、何度も手が止まることがありました。他の社員さんは全く別の業務を行っているため相談の仕方もわからず、業務の進め方やゴールのイメージを明確に持てずに戸惑うことも多かったです。
加えて、Ludiusの社員さんは皆、それぞれの分野で専門性を持ち、スピード感を持って業務を進めている印象がありました。サイト制作に関わる専門用語や、クライアントとの会議等の実践的なやりとりを目にするたびに、社会人と学生の明らかな差を感じていました。
一方で、未経験の学生である私に対しても、社長や中小企業診断士の先生、社員さんは丁寧に業務の背景や目的についてわかりやすく教えてくださいました。自分が何のためにその作業をしているのか、どのような視点を持って取り組むべきかを都度確認しながら業務を進められたことで、少しずつ「できることを増やしていく」実感が得られるようになりました。
こうした環境の中で、最初の不安は完全に消えることはなかったものの、「ここでなら、自分は間違いなく成長できる」という前向きな気持ちになりました。そして、この経験が、机上の知識を現場の視点に変えていく最初の一歩だったと感じています。
補助金関連の業務で得た視点
入社2年目からは、主に補助金関連の業務に本格的に携わるようになりました。補助金制度の概要説明や申請書類の作成・整理、必要書類の取得に向けたクライアント対応など、業務範囲は多岐にわたり、初めて触れる内容ばかりでした。制度のルールを理解するだけでなく、それを企業の状況にあわせて適用し、確実に申請を進めていく実務の難しさを日々実感しました。
特に印象に残っているのは、申請に必要な書類の不備修正対応です。提出後、事務局から戻ってくる指摘に対して都度修正を行うのですが、一度直した箇所とは別の点が改めて指摘されることも多く、同じ申請に対して何度も対応を繰り返すことがありました。さらに、指摘内容が曖昧で具体的な修正ポイントが分からない場合も少なくなく、事務局に問い合わせてもすぐに回答が得られないケースも多くありました。こうした状況の中で、限られた期限内に申請を完了させるためには、自ら判断し、仮説を立てながら修正作業を進めていく必要がありました。
また、クライアントから必要な書類や情報を揃える際には、ただ依頼をするだけでなく、相手の業務状況や知識レベルに応じて伝え方を調整する必要がありました。専門用語を多用しすぎず、かといって不正確な説明にならないように言葉を選び、納得感を持ってご対応いただけるように意識しました。これは、制度の理解を自分の中でしっかりと消化しなければできないことであり、説明準備を通じて理解が深まる側面もあります。
補助金業務に携わる中で、単に制度を理解するだけでなく、それを活用する企業側の視点に立つことの重要性を学びました。補助金の制度がなぜ設けられているのか、どのような目的を持って設計されているのかを意識し、企業が申請を通じてどのような未来を描こうとしているのかを想像して、その実現に向けて必要な要素を的確に整理・提案することが、この業務の本質だと感じるようになりました。
補助金業務は、業務量も多く、緻密さや粘り強さが求められる場面が多々ありましたが、その分だけ得られる学びも多く、実務の厳しさと面白さを初めて体感する貴重な経験となりました。制度の表面だけでなく、その制度が企業にどのような意味を持つのかまで考えられるようになったことは、就職後に働く上で役に立つと考えています。
Ludiusで働いた2年間で得たこと
振り返るとLudiusで働いた2年間は、今後の自己成長に必要なことであり、転機だったと思います。大学に通いながらのアルバイトではありましたが、実務を通じて得た経験は、机上の知識だけでは決して得られないものでした。特に印象に残っているのは、「視座の変化」と「実務を通じて身についた基本スキル」です。
まず視座の変化についてですが、Ludiusでの業務を通じて、自分が物事を見るときの立ち位置が明らかに変わったと感じています。最初は、「この作業をどうやって進めればよいか」という目の前の業務に集中することが精一杯でしたが、補助金業務や営業資料の作成などを経験する中で、「この仕事が相手にどう役立つのか」「この情報は誰の意思決定に影響するのか」といった、より高い視点から業務を見るようになりました。これは、クライアントの事業内容や経営課題を理解しようとする姿勢や、制度をただ適用するのではなく、企業の未来を意識することに、自分で気づけたからだと思います。
次に、実務を通じて身についた具体的な力として、「基本的なビジネススキル」「効率的な進め方」「責任感」の3点が挙げられます。ビジネススキルの面では、ヒアリングの進め方や資料作成の構成、表現の工夫など、学生時代には意識する機会の少なかった実践的な技術を多く学びました。補助金申請に必要な情報を整理するための対話では、相手に必要な情報を過不足なく引き出す質問の仕方や、信頼関係の築き方にも工夫が必要であり、毎回が試行錯誤の連続でした。
また、業務の中で何度も発生する不備修正対応や資料の見直し作業では、時間的な制約の中でいかに効率よく精度を高めるかが問われました。ミスを減らすための仕組みを自分なりに考えたり、優先順位をつけてタスクを進めたりする中で、自然と業務の進め方が整理されていきました。
そして、最も大きな変化は「責任感」でした。自分が作成・提出した資料が、そのままクライアント企業の今後に関わるであろうという考えを前に、常に一定以上の品質を保つ意識と、自分の仕事が誰にどのような影響を与えるのかを考える習慣が身につきました。学生という立場に甘えず、社会人の一員としての自覚を持って業務に向き合えたのは、Ludiusの環境と周囲のサポートがあったからこそだと強く感じています。
これらの経験を通じて、「仕事」とは単なる作業の積み重ねではなく、誰かの課題を解決し、前に進む力になる行為であるという認識が深まりました。今後どのような道に進んだとしても、Ludiusでの2年間で得た視点と姿勢は、自分の中の土台として活かし続けられると思っています。
最後に
Ludiusでの2年間を振り返る中で、改めてこの環境で働けたことは自信につながっていると感じています。知識も経験もなかった自分に対して、挑戦の機会を与えてくださったことは、自分にとってとても貴重な体験でした。
特に印象的だったのは、やりたいことや関心のあるテーマを率直に伝えると、前向きに考えていただける社長の姿勢です。業務の経験を重ねる中で、自分なりに興味を持った分野や、「もっと深く関わってみたい」と感じた業務について相談した際にも、否定されることは一切なく、そのうえで、改善につながるフィードバックをいただけたことで、大きく成長できたと思います。
また、社員さんも、業務の途中で出てきた素朴な疑問や、自分なりに詰まってしまったポイントについて、丁寧に、かつ分かりやすく教えてくださいました。
職場環境は、人によって「合う合わない」はあると思います。しかし、「何かを成し遂げたい」「成長したい」「挑戦を通じて自分を変えたい」と考える人にとっては、これ以上ない環境がLudiusにはあります。
かなり先になるかもしれませんが、将来的に中小企業診断士として実務に関わる機会が得られた際には、Ludiusとまた一緒に仕事をしたいと思っています。2年間で得た学びと経験を土台に、さらに実力を高めたうえで、今度はビジネスパートナーとして関わることが目標です。