なぜ「いい人」が採用できないのか?ルディウスが採用で実践していること

なぜ良い人が採用できないのか?ルディウスが実践していること
代表取締役 YUSUKE HIRAMOTO
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人手不足や従業員の定着率で悩まれている方も多いと思います。参考になるかはわかりませんが弊社の採用についてまとめました。

私の考え方や方法が正しいとかでなく、「私はこういう考えで今は採用してますよ。」という話なので、今後の状況の変化などに合わせて変わっていくと思います。

そして、あくまで参考として多少なりとも「こんな考え方で採用してる人もいるんだね」くらいに思ってくれれば嬉しいです。

また、業種や職種によっては全然参考にならないと思うので、「全く同じようにやったのに上手くいかない」場合はあるのでご自身のビジネスに照らし合わせてご参考にしてください。あと自戒の念も込めてこのブログを書いてます。

いい人が採用できない

「全然いい人を採用できない」という声をよく耳にします。何故いい人を採用できないのでしょうか?その理由は私は「その企業に魅力がないから」だと考えてます。

こういう例を見ると、「結婚したいけどいい人がいない」と嘆いている似ているなぁと思います。とても魅力的な人であれば、誰かしらアプローチきますし、良い人にアプローチすれば誰かしら良い人を捕まえられそうな気がします。

また、魅力がないというよりは気づいていない、伝わっていないパターンが多く見られます。自社の魅力はあるけどそれが上手く伝わってなかったり、そもそも自社の魅力に気づいてなかったりです。

魅力がない、魅力に気づいてない、伝わらない、いずれにせよ採用のためにやることは「魅力を見つけて磨いて伝えること」だと思います。

そもそも良い人ってどんな人?

「いい人が採用できない」の「いい人」とは具体的にどんな人なのでしょうか?今まで話をしてきた中で、良い人として登場してくる人物像は下記のような人です。

  • スキルがあり即戦力
  • 向上心があり率先して勉強する
  • 組織を引っ張っていくようなリーダー
  • 自発的に行動する
  • 若くて気が利く

etc

問題はこのような「いい人」があなたの会社に入社したいと思うかどうかです。いい人は、誰もが知る大企業や、急成長するベンチャー企業、独立、自分のライフスタイルを優先できる企業などを選ぶのではないでしょうか。

良い人が良い人じゃなくなる環境かも

「良い人が採用できない」という経営者の中には、良い人が埋もれる、もしくは良い人が良い人じゃなくなる職場環境や体制を作っていることが多々あります。自身の気分や感情で従業員を振り回したり、2度とチャレンジする気を起こさせないような評価をしたり、鼓舞しているようでモチベーション下げていたり、良い人が育たないような環境を結構見ます。改めて良い人が定着するような、もしくは良い人が育つような環境かどうか見直しと改善をし続けることが採用・人事において重要な点の一つであると私は考えます。

前提「どうしてもあなたの会社に入社したい人はこの世に存在しない」

今この世に「どうしてもあなたの会社に入社したい人」は存在しますでしょうか?私は、「株式会社Ludius(ルディウス)にどうしても入社したい人はこの世に存在しない」という前提で採用を考えてます。もしそんな人が存在していたら、募集しなくても求人の問い合わせに困らないからです。

なのでLudius(ルディウス)の求人に応募してくる方々は、Ludius(ルディウス)に魅力を感じているのではなく、業種・職種に興味を持っている方たちであると想定してます。なのでその中から、自社にとって「良い人」を採用することになります。

採用で重要視していること

そもそも自社に入社したい人がいないならどうするのか?弊社の場合は有難いことに、ハローワークに求人を出すと業種によってはある程度の応募がきます。なのでその中でLudius(ルディウス)にとっていい人を採用します。

Ludiusにとって「いい人」とは?

そもそもLudius(ルディウス)にとっていい人とはどんな人か?それは成長し続ける人です。Ludius(ルディウス)はまだ数名の小さな会社です。属人的な仕事が多いですし、業界的には加速度的に技術が進歩していくのでそれについていくのは大変です。なので、「未経験のことにチャレンジすることを惜しまず、成長していく人」が弊社にとっていい人です。成長性を重視しているので、経験者でスキルが高いことは評価しますが、未経験者であるからというだけで評価を下げることはありません。実際に弊社は未経験者の採用がかなり多いです。

採用で重視している2つのこと

弊社にとって良い人を前提に、採用で重要視している点が下記2点です。

  1. 成長性を見る(3つの確認)
  2. どんな人が合わないか伝える

他にもスキルや独自性など、採用において判断した方が良いことはありますが、それらよりも先ずこの2つを重要視して採用をしてます。

1、成長性を見る(3つの確認)

Ludius(ルディウス)では、成長性を見るために2次面接まで設けており、2次面接までには課題を提出していただいてます。本当にシンプルで簡単な課題です。注視している点は、完成度やクオリティではなく、1次面接から2次面接までの間にどれくらい成長しているか?という成長性です。

成長性を見るために弊社で確認していることが3つあります。

  1. 改善点(ポートフォリオ)
  2. 求めるクオリティ(課題の自己評価)
  3. 成長意欲

1、改善点(ポートフォリオ)

Ludius(ルディウス)ではポートフォリオの提出は必須ではありません。しかしながら、ポートフォリオの提出がないと判断材料が減りますし、実際の制作物がないと話もあまりできないので、基本的には書類選考でお断りします。

書類選考で弊社が気になった方で、1次面接にきていただけた方には、ポートフォリオにおいて下記質問をします。

「今改めてポートフォリオを見て改善しようと思う点を教えてください」。

この質問の意図は、ポートフォリオ作成時から現時点までどれほど成長しているのか?を見ています。制作時は全力で最大限のクオリティのものを制作しても、時間が経ち、振り返ると「もっとこうすれば良かった」と思ったことのある方は多いのではないでしょうか?これは制作時よりも成長しているからだと思います。なので、改めて自分のポートフォリオを見て、今ならどこを改善するか?を確認することで成長性を確認しています。

2、求めるクオリティ(課題の自己評価)

ルディウスでは2次面接時に、こなしていただいた課題に自身で評価してもらいます。課題に対して自分で評価してもらうことで、自身がどれくらいのクオリティを求めているのか?また、探究心がどれほどのものなのかを見てます。例えば、自己評価が高い場合、その課題に対して改善点がほぼないということになります。改善点がほぼないということは自分にとって最上級のクオリティであるということです。実際にクオリティの高いコードかどうかは見ればわかります。しかしながら、「課題が簡単でした。」という方ほど、課題のクオリティが低い傾向にあります。クオリティが低いのに自己評価が高い方はあまり成長を見込めないと考えています。そして、低いクオリティで満足してしまうということは、低いクオリティでクライアントに納品してしまう可能性が高いことを意味します。もちろん、もうこれ以上は何も言えないくらいの課題であれば自己評価が高くても問題ございません。本当に簡易的な課題なので改善点のない課題である可能性は十分にあります。

3、成長意欲

成長意欲がないと、成長スピードが著しいウェブ業界にはついていけないと思います。なのでルディウスでは成長意欲を見ています。1次面接で、ルディウスの制作環境や開発方針など様々な話をします。また、面接時に質問も受け付けます。どのような雰囲気なのか?身につけておかなければならないスキルはなんなのか?などです。1次面接でルディウスに入社後には身につけておかなればならないスキルや知識がわかるはずです。成長意欲のある方は、1次面接で必要だと感じたスキルや知識を、2次面接の時点で勉強してきたり、課題に取り入れてきたりします。そういった方は成長意欲があると判断しています。

2、どんな人が合わないかを伝える

求人に対して応募してくれた方の「成長性」を弊社なりに判断して、良いと思った方を採用したいのはもちろんです。ただもう1つ重要なことがあります。その採用が両者にとって良いことであるかどうかです。成長性があるからといってルディウスにとって良い条件の従業員になるとは限らないですし、ご応募いただいた方にとっても弊社に入社することが良いとは限りません。なので、成長性以外に重要なこと、「ルディウスのことを包み隠さず知ってもらう」ことが2つ目の重視していることです。

すぐ辞めてしまう問題

よく聞く採用の課題の一つが、「入社してもすぐ辞めてしまう」です。なぜ入社してもすぐ辞めてしまうのでしょうか?その原因はいくつか考えられます。そもそもやる気がなかった、他に良い条件の転職先が見つかった、入社したけど思ってたのと違った、などでしょうか?ここで重要なのは、こちらで手の施しようのない原因なのか、そうでないのか、です。「そもそもやる気がなくてなんとなく入社した」であれば入社後、相当居心地が良くて環境が良くない限り辞めてしまうと思います。実際に「仕事のモチベーションはないけど、他と比べると好条件だから今の仕事を続ける」という人は私の周りにかなり多いです。そういった辞めてしまう原因もありますが、私が誰もが簡単に実施できる「すぐ辞めてしまう人」を減らす取り組みは「正直に自社の方針や文化を伝える」ことです。これにより、「入社してみたけど思ってたのと違う、、、」を多少は緩和できるのではないでしょうか?

入社前後のギャップ

「入社したけど思ってたのと違う」が起こるのは、入社前にイメージしていた仕事と、入社後の実際の仕事に違いがあるということです。この違いが大きければ大きいほど、入社後に退職を選択する方は増えるでしょう。入社前のイメージは、ホームページやブランドイメージ、広告、面接などの情報から形成されると思います。そして恐らく影響力が高いのは面接だと思います。なぜなら、企業と応募者の直接的な接点を持てるのが面接だからです。その面接で入社して欲しいがために、応募者にとって耳障りの良いことだけ話していると、入社前後のギャップは大きくなるでしょう。

しっかり伝えることは双方にメリットがある

自社の方針や文化をしっかり伝えることは、自社と応募者の双方にとってメリットがあります。それはお互いの認識を擦り合わせて、そういった環境だけど入社する意思はあるのか?がわかるからです。応募者からすると、それによってより入社したくなったり、入社したくなくなったりするはずです。入社したくなくなる人が出てくるのは困るのでは?と思う方もいるかもしれませんが、入社前にそう思う人が辞退してくれた方が長い目で見るとお互いにメリットがあります。企業側からすると入社前に辞退してもらえれば、金銭的なコストはもちろん、教育などに費やした時間的コストもかからずに済みます。応募者側からすると、他の入社希望の企業を断らずに済みますし、無駄に合わない企業に入社して費やす時間を削減できます。

なので、自社の環境や条件、方針、文化などはしっかり伝えるようにすることが、「すぐ辞めてしまう問題」を減らすだけでなく、無駄な時間やコストをかけなくて良くなると思います。

具体的にどんなことを伝えるのか?

しっかり伝える目的は「入社前後のイメージの相違を少なくする」です。ルディウスでは、企業理念や仕事に対する姿勢はもちろん、「こういう人は合わないと思うから辞めた方が良い」と伝えます。例えば、弊社は属人的な仕事が割とあるので標準的で手順の決まった作業をこなしたいという方は合わないですし、新しいことも率先してやるベンチャー気質的なところがあるので合わない人は合わないです。また、従業員に直接質問したい人には質問してもらいます。これらにより、どのような仕事環境でどのような人が働いているのかがよりイメージできるようになると思います。

定着しない

「すぐ辞める問題」の解決策の一つとして、「どんな人が合わないかを伝える」を前述しました。ただこれは、すぐ辞めないかもしれませんが、長く続けるかはまた別問題だと考えてます。そもそも成長し続ける人はスキルアップする環境を求め続けると思うので、入社後ある程度満足をしたなら転職を検討する人も幾人か出てくるでしょう。また、ルディウスの業種によっては、参入障壁が低い業界もあるので、独立志向の方も多くみられます。よりスキルアップできそうな企業に転職を検討するのも当然でしょう。感情に訴えかけて無理に引き留めたとしても、本人には少なからず後悔が残ると思います。なので本人のことを考えると無理に引き留めるのも良くないと思います。

そもそも定着しなくても良い環境づくり

そもそも定着しない前提で環境づくりをした方が良いと思います。自社の作業の標準化や暗黙知を形式知に変換するなどの体制をつくり、特定の人が退職しても崩れない組織や、新しい社員がすぐに作業をこなせるような環境づくりを進めていくことが重要です。標準化や形式知への転換などのナレッジ管理については以前の記事「テキスト化・ナレッジ管理でストレスやミスが激減!」に記載してあるので興味ある方は是非読んでみてください。

勤め続けたいと思う魅力づくり

定着しない問題に対して、そもそも定着しなくても良い環境づくりをすれば良いと記載しました。しかしながら、やはり定着してくれないと、採用コストもかかりますし、ブラック企業っぽくみられてしまいます。なので、定着してもらえるような環境をつくることも同時に進める必要があります。

まとめ

ルディウスの採用に対しての前提や心掛けていることをまとめると下記です。

  • ルディウスに入社したい人はこの世に存在しない
  • 成長性を見る
  • どんな人が合わないかを伝える
  • そもそも定着しなくても良い環境づくり
  • 勤め続けたいと思う魅力づくり

ルディウスの仕事環境や評価制度など、足りていない部分はかなり多くあります。しかしながら、弊社に勤め続けたいと思う魅力づくりには今後力を注ぎ続けていきます。そして勤め続けたいと思う理由には、一緒に働く人々によるところも大きいのではないかと思います。弊社の理念に合う人をしっかり採用して、より魅力的な企業を目指していきます。

こんな記事を書いたら、入社のために対策してくる人が出てくると言われそうです。そういう人が出てくるなら大歓迎です。わざわざブログ記事まで読み漁って入社のために対策してくる方であるならば、弊社に入社したいという気持ちの現れでしょう。そんな方が徐々に増えてくれることを願います。

これらはルディウスの場合の採用です。そして、今後は状況に応じて考え方や方針も変わってくるでしょう。なのであくまで参考として「こんな考え方もあるのか」と思ってもらえたら嬉しいです。周りで採用に悩んでいる方が多いので、少しでも役に立ったなら嬉しいです。

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代表取締役 YUSUKE HIRAMOTO

Ludius,inc.代表取締役。 執筆:小川雅人編著「中小企業の経営と診断」-持続ある社会活動の経営支援に向けて-「11章 中小企業の情報戦略」。

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