カフェの黒板アート描いてみました

ウェブデザイナー/イラストレーター NANASE MIYAMOTO
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経緯

以前メニュー制作に携わらせていただいた『すみまめカフェ』様より、黒板アートの制作依頼をいただきました。
メニュー制作については、以下の記事でご紹介させていただいています。
https://ludius.co.jp/post-275/


すみまめカフェ様の店内は、入って右手の壁一面が黒板になっており、すみまめカフェ様らしいオシャレなアートが描かれているのです。


すみまめカフェ様で長年親しまれてきたこちらの黒板アート。
今回この黒板アートをリニューアルしてほしい、とのご依頼をいただきました。

私はこれまで、小さな立て看板などでPOPを描いた経験は何度かあったものの、ここまで大きな黒板に絵を描いたことはありませんでした。

そんな黒板アート初心者な私でしたが、クライアント様より好きなように描いていいよ、とのお言葉をいただき、黒板アートを描かせていただくことになったのです。
今回は、黒板アートが完成するまでの道のりをご紹介させていただきます。

デザインを決める

まずはデザインのラフ案を作成しました。

自由にデザインを決めて良いとのことでしたが、以下の情報を入れたいとご要望をいただきました。

・店名
・店内で扱っている商品・メニューに協力いただいているお店のリスト
・フリーWi-Fiのログイン情報

カフェの雰囲気にあったデザインを色々検討して、最初に出した案がこちらです。

自分なりにコンセプトを練って作成したデザイン案だったのですが、今見るとリニューアル前の黒板アートに似通っていることが分かるかと思います。
クライアントからも同様の意見をいただいたため、改めてラフ案を作り直すことにしました。

改めてどのようなコンセプトでいくか再度検討したところ、
以前リニューアルしたメニューのコンセプトに合わせると面白いのではと考えました。
リニューアルしたメニューの表紙はこちらです。

人と人のコミュニケーションが生まれる場所、というイメージで作成したこちらの表紙イラスト。
黒板アートでも『人』をテーマにすることで、すみまめカフェ様らしさが出るのではと考えました。

そして2つのラフ案を作成しました。

1案目はこちら

すみまめカフェの周囲を囲んだ道や線路の周りに、人々が思い思いにくつろいでいる様子です。
線路や道は、実際の地図をベースに描いたものです。

2案目はこちら。

すみまめカフェ自体をモチーフにしたら面白いのでは、と思い考えたラフ案です。
店内で人びとがくつろいでいる様子を描き、楽しさを表現しています。
また、店内では墨田区で生まれたパンやコーヒー、プロダクトがたくさん使われているということをユーザーに伝えるという狙いもあります。

クライアントにこの2案を提案したところ、2案目が採用されました。

このスケッチはラフ案なので、実際のイメージを詰めていきます。
詰めたものがこちらです。

クライアントからOKをいただいたので、この絵を実際の黒板に描いていきます。

実際に描いてみた

1日目

現地に伺い、早速描き始めることになりました。

しかし、黒板アートを描く前にやるべきことがありました。
それはリニューアル前の黒板アートを消す作業。
長年このカフェで親しまれた黒板アートを消すのは、もったいないし心苦しいと思いつつも、まっさらな状態にさせていただきました。

そして描き始める準備が整ったのですが、壁一面の黒板がとにかくどでかいので、いきなり描き始めてもうまくいきそうにありません。
なので、まずはガイドラインをつけていきました。

まずは印刷したイラスト案に、縦横一定の感覚で何本かガイドラインを引きました。

黒板にも同じ数のガイドラインを引きます(写真取り忘れました)。
こうすることで、イラストを黒板に起こしやすくなります。

早速描き始めていきましたが、なかなかに大きい壁面なのでとても苦戦しました。
ちょっとした線のブレも、デジタルなら簡単に修正できますが、黒板だとそうもいきません。
間違えた箇所は、ガシガシと濡れタオルで線を消し、線を引き直し、なんだか納得いかないので再度ガシガシと線を消し。。。の繰り返しで、気づけば閉店時間が近づいていました。
もう少し描き進められると思ったのですが、あまり要領をつかめないまま1日目が終了しました。

1日目終了時はこんな状態でした。
まだ完成には程遠いです。

2日目

だんだんと黒板の扱いに慣れてきたので、比較的順調に進めることができました。
1日目の時点で線画は8割程度終わっていたので、2日目は主に色を塗る作業を行いました。
この日はカフェでの作業時間が限られていたため、完成には至りませんでしたが、自分の中では8割くらい完成した感覚がありました。

2日目終了時点でこんな状態でした。

3日目

3日目は仕上げや修正作業をメインに行いました。

3日目終了時点でこんな状態になりました。
デザイン案通りの絵を黒板に描けたので、自分の中では完成したと感じていました。

しかし、クライアントにご意見を伺ったところ、なんとなく微妙な反応。。。
もっとリアル感が欲しいとのご意見をいただきました。
イラスト案の通りに描いたつもりなのですが、思ってたのと違う感じのものになってしまうのは、なぜなのでしょうか?
今振り返って考えると、ずばり、スケールの問題だと考えています。

イメージのイラストはA4サイズの用紙に印刷しましたが、実際に描く黒板のサイズはA4用紙より果てしなく大きいのです。
A4サイズで成立しているイラストをそのまま拡大して描いても、間延び感や迫力のなさが出てしまうのだと思います。逆も然りかと思います。
この場合、デザイン案よりも細部を細かく描き込んだりすることで、逆に元のデザインのイメージを保つことができるのだと思います。

試しにリアルめのコップを描いてみたところ、クライアントから好評をいただいたため、後日一部修正をすることになりました。

4日目

この日は作業に夢中になるあまり、途中経過の写真を撮影し忘れたため、完成した写真しかありません。。。
少々分かりづらくなりますが、修正箇所を説明していきます。

まず、店内で扱っている商品やメニューにフォーカスを当てるために、それらをリアルめに加筆してみました。
可愛らしさを出すために、人物などはあえて手を加えずフラット感を残しました。

一度クライアントにお見せしたところ、中央の『すみまめカフェ』のロゴの視認性がよくないとのことだったので、白抜き(黒板なので黒抜き?)の文字にしてみました。くっきりときれいに文字を抜くのが意外と難しく、この作業にかなり時間を費やしました。。。

ロゴの修正が完了したところで、再度クライアントにお見せしました。
黒板右端に描いた、ドアの窓に『すみまめカフェ』と入れて欲しいとのことだったので、ドアにも店名を入れさせていただきました。

そして再度クライアントに確認していただき、まあ良いでしょう、とOKをいただきました。

ついに完成した黒板アートがこちらです。

3日目と比較すると、個性的で目をひく黒板アートになっているのではないでしょうか?

こうしてリニューアルした黒板アートが完成しました。
リニューアル前の黒板アートとはかなり系統の異なるアートなので、すみまめカフェのスタッフ様やユーザー様は最初落ち着かないかもしれませんね…。
月日を重ねて、この黒板アートも悪くないね、と思っていただけることを願っています。

振り返って

今回作成した黒板アートですが、自分一人ではここまで描けなかったと感じています。
クライアントから率直なご意見をいただけたことで、妥協のないアートを完成させることができたと思っています。
黒板アートに限らず制作物というものは、率直なご意見やご要望をクライアントから頂くことで、初めて良いものが完成するということを改めて感じました。

すみまめカフェ様について

今回メニュー制作をご依頼いただいた『すみまめカフェ』様は、地域に密着した素敵なカフェです。
介護の相談ができるカフェという他に見られない形態なのですが、落ち着く雰囲気と美味しいコーヒーが楽しめるので、カフェのみをご利用されるお客様も多いようです。
私も今回の制作で何度かカフェを利用させていただきましたが、介護の相談がしたい方、カフェのみを利用したい方、どちらにとっても居心地の良い空間だと感じました。
昭和レトロな墨田区の名所『キラキラ橘商店街』にあるすみまめカフェ。
ご興味のある方は、足を運んでみてはいかがでしょうか?

<すみまめカフェ>
住所:〒131-0046 東京都墨田区京島3丁目39−8
営業時間:11:00〜18:00(不定休)
※営業時間は変更になる場合がございます。
facebook:https://www.facebook.com/sumimame/
企業HP:https://www.w-createcare.com/

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書いた人

ウェブデザイナー/イラストレーター NANASE MIYAMOTO

広島県出身。2021年7月入社。 前職はホームセンターの販売員で、特技はフォークリフトの操縦。 趣味は週末のランニングと、お菓子を食べること。